或る世界

2021年3月

四つの角

丸い黄身の外で、四つの角だけが先に待っていた

パンの中央へ卵を載せる前に、縁へ寄った淡い層を匙で内側へ戻した。黄身の丸さは中央に残り、四つの角にはまだ何も触れていない。

角のあるパンに丸いものを置くと、形を保つための力は均等にはかからない。中央は上から受け、四つの角は皿の上でパンの幅を先に守る。

縁から匙を入れると、淡い層は角へ近づく。そこで止めれば、パンは一枚のまま、丸い黄身の外側だけを少し広くできる。全部を中央へ集めるのでなく、角へ届く前で戻すことを選んだ。

匙を離すと、黄身の下に残った白さがわずかに沈む。四つの角はまだ乾いたままで、皿の花形の縁へ触れずにパンを支えている。

石の内側

石の内側から、細い枝だけが先に外へ出た

石を低く積んだ輪の内側へ、乾いた葉が一枚落ちていた。拾おうとして手を入れると、細い枝が石の高さより先に伸び、指の行くところを横切る。

石の輪は、土を囲うためのものに見えた。けれど枝は輪の内側だけに留まらず、いちばん低い石を越えたところで空いた方へ向きを変える。囲いは根元を決めても、枝の行き先までは決めない。

葉を取るために枝を押さえると、先端まで小さく揺れた。石へ触れずに手を引くと、枝はまた輪の外へ戻り、土の上には葉だけが残る。

もう一度屈むと、石の隙間に小さな草が見えた。枝を避けて拾った葉は手の中で軽く、輪の内側にはさっきより暗い土が残っている。

色の外側

明るい色は、乾いた葉の外側から見えた

花の色を見ようとすると、手前の淡い葉が先に視野へ入った。細く乾いたように見える葉は、橙赤色の輪郭を少しずつ隠し、こちらの目を急がせない。

明るい色は、周囲に何もないときよりも、横切るものがあるときに輪郭を持つと思える。花の中心にある暗い部分が、光を受けた花びらより先に目に残る。

邪魔だと思った葉は、指でどかさずにそのままにした。葉の向こうに色があると分かれば、全部を見なくても一輪の場所は失わない。

少し離れると、淡い葉も緑の葉も同じ画面に入る。花だけを取り出すより、その外側を含めて見たほうが、橙赤色は静かに見えた。